読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ho - jun

芳醇/豊潤 ・ 小説と漫画創作 ・ 本と映画レビュー ・ 初心者社会学

【書籍】最近面白かった「社会」の本

入門社会学 書籍レビュー

「社会」のことを語る本を、ゆっくりとですがいくつか読んでいます。

この半期くらいで面白かったものをいくつかご紹介。

 

 

社会を変えるには (講談社現代新書)

社会を変えるには (講談社現代新書)

 

 かなり厚みのある、読み応えのある本です。

書かれたのが2011年の脱原発デモ盛んな時期だったので、時代背景もあって例えば今の安保法案反対デモにそのまま当てはめれるか、示唆があるかというと微妙なところですが、

過去の社会運動の歴史や哲学など、幅広いジャンルの知識を体系的にまとめていて

自分のような「あれこれの著名人の本をおいそれと読み漁れない…」というスローリーダーが入門編としてつまみ食いするのには、とても面白く読めました。(その上で「これだけを信じるな、本当に知りたければ原典を当たれ、あとのことは自分でやれ」と冷たく突き放すところも、押し付けがましくなくて好感度。)

「社会を変える」ためでなくても、若い人が教科書上でしか知らない歴史を少し立体的に見てみるのに有用です。

 

 

 

内田樹の大市民講座

内田樹の大市民講座

 

 著者が新聞に寄稿していたコラムを1冊にまとめたもの。

普段あまり新聞を読まないので、こんな切り口で痛快にその時代を批判する人がいるのか、というだけでとても気持ちがよかった。

特に印象に残っているのが「教育」の章で述べられていたこと。

確か「いじめ自殺」問題に触れてだったと思うが、

例えばキリスト教社会では、家では父親が絶対的・学校では教師が絶対的だとしても、毎週通う教会では父親も教師も学校の生徒たちもみんな、牧師さん・神父さんという更に上の存在を前に自分と水平になる。どんなに怖い父親でも教会では頭を垂れる。

ある社会的単位で絶対視されたものが、教会という社会的単位では相対化される。それによって自分を相対化して、社会化されて(成熟して)いく。

日本ではそれが「祭り」だった。村の祭り行事を通して、他者を、自己を相対化する。

今ではそういった、いわば"サードプレイス"がないので、自己も他者も相対化できなくて、未熟な子どもたちが寄り集まっていじめが生じ、絶対視されている教師にも見放されると他に寄る術がなくて自殺に追い込まれる。

…この本からの引用と私の解釈をごちゃ混ぜにしているのでちょっとずれてるかもしれないけれど、こういった目線で今の教育システムの問題を解き明かされたのはとても新鮮だった。

他にもこの本の中から語りたいことはいろいろあるけれど、それはまたの機会に。

 

 

 

世界は宗教で動いてる (光文社新書)

世界は宗教で動いてる (光文社新書)

 

 けっこうエッジの効いた論を展開する人のように感じたので100%鵜呑みにしてはいけないかもしれないけれど、

無神論者にはピンとこないいろいろな宗教の事情をひとつひとつ分かりやすく紐解いてくれる、面白い一冊。

一神教多神教で「契約」の感覚が違う、とか。

政教分離で近代化したキリスト教と、政治と宗教が一体となって社会を根底から支えるヒンドゥー教、とか。

むしろこれを、それぞれの宗教の人が見て「言われてみれば…」と感じるのかが一番気になるところ。