旅するトナカイ

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海の上のピアニスト

海の上のピアニスト [DVD]

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ニュー・シネマ・パラダイス」と瓜二つだけど、向こうよりもおとぎ話的要素が強い。
演奏の手元は適当、シーンの切り替えには遊びもない。一人の男の一生を描いているというのに、当然通るであろう人間の道をことごとく省いて、美しいところだけを描いた話にはリアリティがなさすぎ。ニューシネマパラダイスにあった生臭さはどこに置いてきたのかと突っ込みたくもなる。

しかしそんなことはどうでもいい。この映画のテーマは、核はそこではないのだ。
最後の1900の台詞を言わせるために、その台詞に重みを持たせるために作られた長い長い茶番。
幼い頃読んだおとぎ話の妖精のような主人公が、時代の変化に戸惑い目をさまよわせる陸の上の人々にストレートをくらわせる。

ここまで曲だけを聴かせるシーンの多い映画もそうないであろうけれど、曲だけでも十二分楽しめる、そんな音楽を作るモリコーネは天才か。そしてその神の音楽と映像の手と手を取り合ったダンスステップ。2時間のPVと言っても悪くなかろう。船が大海原を滑るように、楽器の上を滑るカメラワーク。
船に揺られながらのワルツは秀逸。

それにしてもこの監督、大きなものを爆破するのがすきなのかしらw